「雪やこんこ・あられやこんこ・・・」と童謡にも登場するあられ、ひょう。(「雪」作詞:東くめ・作曲:滝廉太郎)
実は春や秋にも降る事があるのですが、「どうして名前が違うの?」「何か決まりがあるの?」
天気予報を聞いて、こんな疑問がふと思い浮かんだことはないですか?
というわけで、今回は雪じゃないけど雪と似たもの同士なこの2つの違いを紹介します。
あられとひょうの違いは?
この2つは実は同じ氷の塊です。
実はあられとひょうの2つは、粒の大きさのサイズで区別されています。
詳しいサイズや由来は後で詳しく紹介するので、まずは2つが発生する原因を知りましょう!
あられとひょうが降るメカニズム
空気中にある水蒸気により雲の中に氷の塊が発生します。
通常は、上昇気流の力で上に浮いてるのですが、上昇気流の力が大きく激しい時には、中で浮いている氷は落ちてくる事ができず、雲の中で上がったり、下がったりをくりかえします。
そして、氷の塊が大きくなり、上昇気流が重みに耐えられなくなると落ちてきます。
この耐えられなくなり、落ちて来た氷の塊があられやひょうの正体です。
真冬よりも春や秋に多く見られる
あられやひょうが降りやすいのは、真冬よりの春や秋の比較的暖かい時期が多いです。
この時期の共通して言えるのが、次のような特徴です。
- 地表近くが暖かい
- 上空が冷たい
上空が冷たいために、雲の中では氷の粒が発生します。
そして、春と秋は地表も熱いほどではないため、氷の粒が解けることなく落ちてくる事ができるため、春や秋にもひょうやあられは多く見られます。
実は、夏場でも上空でひょうやあられは発生するのですが、夏は気温が高いために地上に落ちてくるまでに途中で溶けてしまうため「雨」になります。
冬場は上空と地表の温度差が少ないため氷がぶつからず、そのまま落ちてきて「雪」になります。
つまり、地上にいる私たちは気づきませんが、実はひょうやあられはオールシーズンで発生しているということですね。これは意外なんじゃないでしょうか。
あられとは?
天気予報を見ると、ひょうと比べるとあられに遭遇する方が多いですがこの2つは「どこがちがう」と説明できますか?
あられの定義と由来
あられとひょうが発生する原因は同じ条件によるのですが「あられ」と呼ばれるには、一定のサイズが決められています。
- あられのサイズ:直径が5mm以下の大きさの氷の粒
意外に小さいですよね。髪型でたとえると頭をバリカンで刈った坊主頭くらいのサイズになります。
そして、あられは漢字で書くと「霰」と書くのですが、この由来を知っているとよりあられの違いがわかりやすくなります。
- 霰(あられ):「散」は「落ちて散る(ちらばる)」という意味
つまり、「固まった雨(氷)が散らばる」という意味を表し、これがあられの漢字の由来になっています。
あられの種類
あられは気温により2つの種類が存在します!
- 雪あられ:雪が少しの水滴を含んだ状態で落ちてきます。白く濁り、不透明で柔らかく気温が0℃前後の初冬や春先に多く見られます。
- 氷あられ:白色の半透明や不透明の硬い氷の粒で落ちてきます。0℃より気温が高く、積乱雲(せきらんうん)から降るため、夕立の前に多く見られます。
あられの中にもBB弾のように当たりが強いものもあれば、ちょっとやわらかめなものもあるわけですが、それはあられの中にもこうした種類があったからなんですね。
ひょうとは?
ひょうは、あられより大きな氷の粒を指します。
では、一体、どのくらいの大きさからひょうになるのでしょうか?
そしてこれまでの記録に残っている過去最大のひょうはどの位のサイズだったのかも紹介します。
ひょうの定義と由来
ひょうのサイズの定義は次になります。
- ひょうのサイズ:直径が5mm以上50mm以内の氷の粒になっていますが、これ以上の大きさの物が降る事も珍しくありません。
つまり、5mm以上のものがひょうであって、上限については実質、決まりがないということになります。
ちなみに50mmサイズの物体が空中から落下してくるとき、時速100km以上のスピードになることがあるので、大粒のひょうが降ってきたらすぐさま建物の中に避難しましょう。
じゃないととても痛いことになります。
そして、ひょうにも由来にそった漢字があります。
- 雹:「包」は「包(おおう)」という意味
つまりこれは「何度もぶつかって大きくなった氷の粒」という意味を表していて、これがひょうの由来になります。
これまでに降った1番大きなひょう
観測史上、日本で1番大きなひょうが降ったのは、1917年(大正6年)の6月29日に埼玉県(現・熊谷市)でふったひょうになります。
大きさは約30cm、重さは約3.4kgで、このひょうは日本だけでなく世界一の大きさと言われています。
規格外のメジャー級のひょうが降ったというわけですね。
30cmのひょうとなるとう少しイメージしにくいですが、食べ物に例えるなら、大玉のかぼちゃが降ってくるイメージです。
そして、このひょうが降ったのは冬ではなく、6月の終わりという事にも注目です。
もはやほぼ夏の時期なのですが、ひょうは夏場でも降ってくることがあるということです。
ちなみに1年中暑いインドなどでも大粒のひょうは観測されています。
天気は不思議ですね。
みぞれとは?
あられやひょうに似た物で「みぞれ」があります。
「○○のみぞれ煮」「かき氷みぞれ」など登場する機会も多いみぞれですが、類似の「みぞれ」についても違いを知っておきましょう!
みぞれは雪と雨の中間
みぞれは雨混じりの降る雪や、解けかかって水分を多く含んだ雪を指します。
つまり、あられやひょうと違って氷の粒ではなく、雪がベースとなるので、種別としては少し違う種類になります。
みぞれの発生は、雨から雪、雪から雨に変わる時など、天気の変わり目のタイミングでよく見られる現象です。
みぞれの由来
みぞれの漢字は「霙」と書きますが、この由来がちょっとお洒落で、「霙」に次の意味があります。
- 霙:「英」という漢字には「花」という意味
この花が由来になっていて、みぞれが空から降る様子が「雨の花」に見えた所からこの漢字が当てられています。
あられとひょうの天気予報での扱いは?
「今年は例年より○日早く雪が降りました」と天気予報で聞くことはありますが「あられが降りました」とは聞くことがありませんよね。
これ、どうしてなのか?ということですが、あられとひょうの天気予報での扱い方を紹介します。
あられ
「霜注意報」などは聞きますが、あられは「降雪情報」などであまり天気予報でピックアップされません。
これはなぜかというと、あられが雪として扱われないからです。
春や秋にも降る可能性があるため、あくまで「氷」として扱われます。
そのために、初雪や終雪にもあられは含まれません。
ひょう
天気予報状では、ひょうもあられと同じ「氷」扱いのため、天気予報でも「ひょうが降る可能性があります。注意してください」程度の注意で終わります。
これは、ひょうがあられよりも粒が多く、被害が出てしまう可能性があるためで「どこどこで直径10cmを超えるひょうが降りました」「ビニールハウスが破れる被害が出ました」という風にトピックスとして見かける機会が多いです。
まとめ
最後にまとめると、あられとひょうの違いはサイズの違いだけで、発生の原因などは同じ物です。
これらは「氷」として扱われ、「雪」とはまたちょっと違いますし、冬だけでなく一年を通して降る可能性があります。
これはちょっと意外ですよね。
また、落ちてきたひょうのサイズの世界一記録も日本が持っていて、30cmは相当ですね。
もしかしたら、日本でも大粒のひょうがまた降る可能性があります。
そのときは急いで屋内に避難することを忘れずに、「でかいひょうが降ったぞー!」なんてはしゃいで外に出て怪我をしないように気をつけてくださいね。