死に至るマダニの感染症を予防する方法。最も注意したい地域、季節は

2017年7月、北海道でマダニに噛まれ、その後ダニ媒介脳炎に感染して男性が死亡するといったニュースが報道されました。

実はマダニによる被害は以前から報告されており、初報告の2013年〜2017年6月28日までの段階で、53名の死亡者が出ていることがわかっています。

参考:https://www.niid.go.jp/niid/ja/sfts/3143-sfts.html

この数字はあくまで報告されている件数ですから、実際はもっと被害が出ている可能性があります。

致死率は10%を超える

マダニに噛まれたさいに過去、死亡者が出ている感染症には次のものがあります。

  • SFTS(重症熱性血小板減少症候群)
  • ダニ媒介脳炎
  • 日本紅斑熱

いずれもダニを媒介する感染症であり、非常に危険な感染症です。

SFTS(重症熱性血小板減少症候群)

SFTSは2011年に中国の研究者らによって発表された比較的新しく発見されたウイルスです。

感染経路はマダニを媒介したものが中心ですが、血液や患者体液との接触による人から人への感染も報告されています。

現状、治療は対症療法しかなく、有効な薬剤やワクチンはありません。

SFTSに感染すると6日〜14日の潜伏期を経て、次のような症状が発症します。

  • 発熱
  • 食欲低下
  • 嘔気
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 腹痛
  • 頭痛
  • 筋肉痛
  • 意識障害
  • 失語
  • リンパ節腫脹
  • 皮下出血
  • 下血

なお、SFTSによる致死率は10%を超えると言われています。

ダニ媒介脳炎

ダニ媒介脳炎は1990年以降、世界で毎年6,000人以上の感染者が発生し、多い年には10,000人を超えることもあります。

人への感染経路は、ダニに刺されることだけでなく、感染したヤギや羊の原乳を飲むことでも感染することがわかっています。

ダニ媒介脳炎の潜伏期間は7〜14日で、段階を踏んで次の症状が見られるようになります。

第一期

  • 発熱
  • 頭痛
  • 筋肉痛

第二期

  • 痙攣
  • 眩暈
  • 知覚異常

第一期ではインフルエンザのような症状が発症し、これが1週間程度続きます。

この後、2〜3日間は症状が一旦消えるのですが、その後第二期に入り、けいれんやめまいといった神経系の症状を発症します。

なお、ダニ媒介脳炎による死亡率は1 〜5%とされています。

日本紅斑熱

日本紅斑熱は日本で1984年に初めて患者が報告されており、1984年から1994年までの症例数は年間10 〜20名ほどでした。

しかし、1995年頃からこの数が増加しはじめ1999〜2001年には年間で40名近くの症例が報告されるようになりました。

ダニに刺されることで感染し、シカなどの動物が病巣を媒介することがあります。

日本紅斑熱は潜伏期間が2〜8日で、発症すると次のような症状があらわれます。

  • 頭痛
  • 発熱
  • 倦怠感
  • 発疹

治療には早期の段階で適切な抗菌薬を投与するといった方法があります。

ダニの感染症を予防するには

こうした死に至る危険性があるダニの感染症ですが、適切な治療が行えるものもあれば、対症的な治療方法しかないものもあります。

そのため、ここで重要となってくるのはいかに予防するかということです。

いずれもダニに噛まれたことが原因となってこれらの感染症にかかってしまうため、一番の予防策はダニに噛まれないようにすることです。

では、噛まれないようにするためにはどうすればいいのかというと、次の対策があります。

  • 草むらややぶ、野山に行くときは肌の露出を避ける
  • ダニ用の虫除けスプレーを使う
  • 屋外から帰ってきたら上着を掃除してダニを取り除く
  • 屋外から帰ったら入浴してすぐに着替える

草むらや野山に入るときは要注意

ダニが生息する地帯は、主に管理が行き届いていない草むらや野山になります。

この他にも民家の裏山だったり、あぜ道にも生息している他、シカ、イノシシ、野うさぎなどの野生動物が出没する場所に多く生息しています。

そのため、もしこれらの場所に入るようなら、必ず肌の露出をしないような装備をしていきましょう。

特に注意が必要なのは首元や、袖口、シャツの裾の辺りです。

首元はハイネックなどを着て覆い隠し、袖口やシャツの隙間からダニが入り込んでこないようにするために軍手で覆ったり、シャツインするなどしてダニが入り込む隙間をカバーしておきましょう。

ダニ用の虫除けスプレー

どうしても肌を隠せない箇所には、ダニ用の虫除けスプレーがあるので、ダニに有効な成分である「ディート」か「イカリジン」が入っている虫除けスプレーを使ってカバーしましょう。

ちなみに「ディート」の方は、含有されている成分が強力なため、使用できる対象年齢に注意事項があります。

  • 有効成分含有率30%〜:12歳未満には使用禁止
  • 有効成分含有率5〜12%:6ヶ月未満児には使用禁止

一方、「イカリジン」の場合、有効成分含有率5〜15%であればこうした注意事項がないため、小さな子どもにも使用することができます。

イカリジンは日本で認可されたばかりで注目を集めていて、イカリジン配合の虫除けスプレーは2016年3月から発売されています。

家に帰ったらお風呂でチェック

多くのダニは長時間の吸血を行います。

この期間は長ければ10日に及ぶこともあり、もし噛まれていればお風呂に入ったさいに確認することができるので、野山から帰ってきたさいはすぐにお風呂やシャワーを浴びるなどして確認しておきましょう。

吸血するにつれてダニも大きくなっていくので、時間が経つほど発見しやすくなりますが、放っておくと感染や、産卵されるといった危険性があるのでできるだけ早めに対処しましょう。

ダニに噛まれたときの対処法

もし、ダニに噛まれてしまっていたとしても無理に取り除こうとするのは危険です。

ダニの口器が皮膚に残り、中に入り込んでしまって化膿したり、感染する原因になってしまうことがあるからです。

そのため、ダニを取り除くときは力任せに引き剥がすのではなく、一番良い方法はエタノールを脱脂綿につけ、そのままダニに被せてしばらく待つ方法です。

こうするとダニは苦しくなって、自然と自分から外れてどこかへ逃げはじめます。

もし、エタノールなどがない場合は、殺虫剤を綿棒にふきかけてダニに塗る、ワセリンがあれば刺された箇所にワセリンを塗ることで同じような効果が期待できます。

ダニに注意したい季節

ダニは暖かくなると活動的になるため、春から秋にかけてが要注意な季節になります。

具体的には5月〜8月は要注意で、この中でもとくに5月がピークになります。

2013年〜2017年の間のSFTS発症の報告件数を見ると、5月が最もピークになっています。

参考:https://www.niid.go.jp/niid/ja/sfts/3143-sfts.html

この季節はゴールデウィークや、お盆などで山に出かけることも増える時期ですが、ダニに噛まれないように準備に気をつけた方がいいということがわかります。

ダニに最も注意したい地域

SFTS発症の報告を都道府県別でみると、被害は西日本を中心としているということがわかります。

参考:https://www.niid.go.jp/niid/ja/sfts/3143-sfts.html

そして、この中でもとくに気をつけたいのが宮崎県になります。

中国、四国を中心に報告があり、いずれも20件台に収まっていますが、宮崎だけは2倍の40件の報告があります。

温暖な上に自然豊かだからなのでしょうか。

また、報告が上がっていない件でもこれは届け出がないだけで、実際に北海道でも死亡する例が出ているので全国どこにいようと注意する必要があります。

まとめ

マダニに刺されると命に関わる危険にさらされることがあります。

いずれも潜伏期間があり、感染症によっては有効な治療法がないこともあります。

そのため、重要なのはいかに予防するかということです。

山登りに出かけたり、子供を草むらがある公園などに連れて行くときには、ダニに刺されないようにしっかりと防護できるようにしておきましょう。